何の志も無きところに、ぐずぐずして日を送るは、実に大馬鹿者なり
世の人は我を何とも言わば言え 我が成す事は我のみぞ知る
義理などは夢にも思ふことなかれ 身をしばらるるものなり
われ、はじめて西郷を見る。その人物、茫漠としてとらえどころなし。ちょうど大鐘のごとし。小さく叩けば小さく鳴り。大きく叩けば大きく鳴る。
文(ふみ)開く衣の袖は濡れにけり 海より深き君が美心(まごころ)
丸くとも 一かどあれや人心 あまりまろきは ころびやすきぞ
日本を今一度 せんたくいたし申候
恥といふことを打ち捨てて 世のことは成るべし
時勢に応じて自分を変革しろ
感涙とどめず、遥か江戸の地より拝し、龍馬かならずこの恩に報うべし、と天地神明に誓ふ
※父が亡くなった時に詠んだとされる句
事は十中八九まで自らこれを行い 残り一、二を他に譲りて功をなさむべし
世界の海援隊でもやりますかな
人の世に道は一つということはない。道は百も千も万もある。
万事、見にゃわからん。
俺は議論はしない、議論に勝っても、人の生き方は変えられぬ。
奇策とは百に一つも用うべきではない。九十九まで正攻法で押し、あとの一つで奇策を用いれば、みごとに効く。奇策とはそういう種類のものである。
夢中で日を過ごしておれば、いつかはわかる時が来る。
人生は一場の芝居だというが、芝居と違う点が大きくある。芝居の役者の場合は、舞台は他人が作ってくれる。なまの人生は、自分で自分のがらに適う舞台をこつこつ作って、そのうえで芝居をするのだ。他人が舞台を作ってくれやせぬ。
わずかに他人より優れているというだけの知恵や知識が、この時勢に何になるか。そういう頼りにならぬものにうぬぼれるだけで、それだけで歴然たる敗北者だ。
人として生まれたからには、太平洋のように、でっかい夢を持つべきだ。
疲れちょると思案がどうしても滅入る。よう寝足ると猛然と自信がわく。
時勢は利によって動くものだ。議論によっては動かぬ。
人の世に失敗ちゅうことは、ありゃせんぞ。
古来、英雄豪傑とは、老獪と純情の使いわけのうまい男をいうのだ。
暗ければ、民はついて来ぬ。
今は力を培養するときだ。その時機を辛抱できぬのは男ではない。
雨が降ってきたからって走ることはない。走ったって、先も雨だ。
俺は着実に物事を一つずつ築きあげてゆく。現実に合わぬことはやらぬ。
偏見を持つな。相手が幕臣であろうと乞食であろうと、教えを受けるべき人間なら俺は受けるわい。
人間というものは、いかなる場合でも、好きな道、得手の道を捨ててはならんものじゃ。
男子は生あるかぎり、理想をもち、理想に一歩でも近づくべく坂をのぼるべきである。
金よりも大事なものに評判というものがある。世間で大仕事をなすのにこれほど大事なものはない。金なんぞは、評判のあるところに自然と集まってくるさ。
慎重もええが、思いきったところがなきゃいかん。慎重は下僚の美徳じゃ。大胆は大将の美徳じゃ。
おれは落胆するよりも、次の策を考えるほうの人間だ。
人間、好きな道によって世界を切り拓いていく。
世の既成概念を破るというのが、真の仕事である。
人間、不人気では何も出来ませんな。いかに正義を行なおうと、ことごとく悪意にとられ、ついにはみずから事を捨てざるをえなくなります。
何でも思い切ってやってみることですよ。どっちに転んだって人間、野辺の石ころ同様、骨となって一生を終えるのだから。
事をなさんとすれば、智と勇と仁を蓄えねばならぬ。
相手を説得する場合、激しい言葉をつかってはならぬ。結局は恨まれるだけで物事が成就できない。
いったん志を抱けば、この志にむかって事が進捗するような手段のみをとり、いやしくも弱気を発してはいけない。たとえその目的が成就できなくても、その目的への道中で死ぬべきだ。